チェンマイ空港のイミグレーションで並んでいた時のことである。
何か感じる・・・ぞわぞわっ・・・誰か見てる・・・
後ろを振り向くと、頭の小さい濃い顔立ちの男の人が15人くらい、イミグレに並ばずに少し下がったところで横一列に待機していた。
ちょっとくたびれたように見えるスーツを一同着込んでいる。
彼らにとっては、精一杯の一張羅のようだ。
しかし、何だよ・・・なぜにみんな私をみるのよ?
自意識過剰なのかと錯覚してしまうほど、みんな私を見ている。
他にも外国人はいるではないか?
しかも、ここでは君らも外国人だろう?
「ねね、お父さん、あの人たちネパールの人かな?みんなじっと見つめとるのだけど、ワシの顔になんかついとるん?」
お父さんというのは、父親のことではない。
私の前に並んでいる旦那さんのことだ。
私の問いに振り返った彼は、笑いをこらえるのがやっとのようだった。
「お父さん、笑うでないよ。じっと見られとるのだけど、やっぱネパール系の人かな?」
ぼそぼそ話す私の声が見つめる彼らにも聞こえたらしい。
そりゃそうだ、彼らの意識は私一点に集まっているのだもん。
中の一人がにっこり笑って答えた。
「ノー、ネパリ。バングラディッシュ。」
あ〜そ〜、バングラディッシュなのね。
でも、なんでワシばっか見とるん?
笑いを必死にこらえて旦那さんがこう言った。
「なんでそんなに顔がデカイのか気になるんちゃうの?」
そうかも・・・私の顔がデカイというのは置いといても、頭の小さい彼らからすれば、妙チクリンに見えるのかもしれない。
彼らは大きな瞳、まつ毛も黒々、高い鼻、凛々しい唇、浅黒い肌、小さなお顔に具がぎっしり詰まっているように濃い顔立ちだ。
色白の大頭デカタロウの私を彼らは滑稽に見えたのかもしれない。
なんと失礼な!
でも、カッコイイ兄ちゃんたちだった。
チェンマイへ集団出稼ぎなのかもしれない。
バングラディッシュと聞くと、私の中では、難民と栄養失調の乳児の映像が擦り込み学習されている。
がんばって働いておくれやっしゃ。
それはそうと、その熱い視線はほんとのところなんなのよ。
日本では「よその人をジロジロ見てはいけません。」と躾られるけれど、やはり日本特有の文化のようだ。
アジアは違う。
興味があったらジッと見る。
濃い顔立ちの人から見つめられると、ほんとに視線が痛いほど感じる。
悪気はないのであろう。
むしろ、じっと見られるほど興味を持っていただいたことに感謝した方がよいかもしれない。
私はもう若くはないのでトント関係のないことだが、若い娘さんなら勘違いしてロマンスに発展するかもしれない。
事実、そんな出会いがきっかけでラブラブモードになってしまった話はよくあるようだ。
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