2006/09/08

6. 訛り英語

英語は世界共通語ではあるが、母国語としている国と後付けで勉強する国では、やはり大きな違いがある。

当たり前のことだが、ネイティブスピーカーは、発音が良い・文法がしっかりしている・語彙量が多い・話す速度が速いと、私たちが日本語を話すように普通にスラスラ〜っと話す。
ネイティブじゃない人は、その学習の仕方と量によって大きな差が生まれる。
やはりこれも当たり前のこと。

日本では、ほとんどが中学から英語を学ぶが、これも良いことなのか悪いことなのかはっきりしない。
語学は音楽と同じように、年齢が小さいうちから慣れる方が良いことは確かだ。
耳から自然と入ってくるように覚える、そうまるで母国語のように。
そのためには、周りにいる大人たちもある程度英語を話せないとよくないだろう。
週に1回程度の英会話教室で、将来困らない程度に英語が身に付くのは、ほんの一握りに思う。
だから、中学生くらいで母国語がそこそこ理解できた後に英語を学習するのは、割と効果的なのだろう。

しかし、読めるけど、書けるけど、テストで点が取れるけど、会話はできないという現実が生まれることになる。
昭和39年生まれの私は、まさにその世代。
今の中学生の教科書は、マンガ?と思うほど挿絵が多く、会話中心に進んでいくようになっているようだが、どれがキーセンテンスで新出単語でどの文法を主点にしているのか私は理解できない。

でも、今の子供たちがみんな会話ができるかと言えばそうでもない。
だいたい、国際的な観光地や外国人がよく集まるスポットでもない限り、英語を話す機会なんて日本では無いに等しいのだから。
そこへ行くと、諸外国の子供たちは、日本の子供より圧倒的に英語に馴染んでいる。

ソウルオリンピック以後、韓国の英語教育は発展した。
韓国の若い子たちは、日本の同世代の子たちより数段英会話が出来る。
4年後の北京オリンピックを目指して、中国もすごい勢いで英語教育を進めている。

私が行くアジアの国では、若い子たちは率先して英語を学び、子供たちはなんの照れもなく外国人に「ハロー」と話しかける。
仕事のため、生きていくためとはいえ、英会話スクールに通わなくてもみんな独学で英語をモノにしようという姿勢には、大変頭の下がる思いだ。
「どこで英語を覚えたの?」と聞くと、ほとんどは「ストリート」と答える。
ストリートイングリッシュでも、会話ができる。
恥ずかしがらずに、話して、聞いて、また話すを繰り返して覚えたものだ。
文法や発音なんか気にせずに、聞き覚えたことを毎日話して彼らのストリートイングリッシュは磨かれていく。

私は自分の英語をジャパニーズイングリッシュwith三河弁と思っているので、彼らと話しているととても気持ちが楽になる。
面白いことに、このストリートイングリッシュは、やはりそこの母国語と関連して訛りが生じる。

タイでは、タイ訛りの英語。
文法的には、何かを尋ねるとき、「Are you〜?」「Do you〜?」と疑問文から始めることは少ない。
例えば、あなたは日本人ですか?「Are you Japanese?」が本当なのだが、タイでは「You are Japanese?(語尾上がり調子)」となることが多い。
これはタイ語の疑問文が、ほとんどこの形をとるからだ。
何か聞きたいときは、普通に言って語尾に「マイ?(語尾上がり調子)」で会話するからだ。
おかしい?
ううん、ぜんぜんおかしくなんかない。
これで会話は十分通じるのだから、うまく文が作れないからモジモジしているより、わかる範囲で話す方が楽しい。
あと、日本語でも、語尾に「〜〜ね、〜〜さ、」とつくように、タイ語は「〜〜ナ」とつくことが多い。
だからタイ人は「サンキュー、ナ!」「シーユーアゲイン、ナ!」となるわけだ。
しっかり語学学校に通っている人は綺麗な英語を話せるから、あくまでこれは、普通のタイ人のストリートイングリッシュなわけだ。

ネイティブの人に、日本人は「R」と「L」がやっぱり下手なんだって言われた。
だから、このへんでジャパニーズイングリッシュ、つまり日本訛り英語だとわかるらしい。
訛っててもいいから日本人は恥ずかしがらずにもっと喋れば上手くなるとも言われた。
本当にそうだね、そう思うよ、私も。

「R」で思い出したけど、ネパール訛りの英語は「R」がキツイ。
これも、ネパール語がもともとそうなんだから仕方ないんだけどね。
空港は「エアポルト」、運転手のドライバーは「ドライバル」、パスポートは「パスポルト」、コンピューターは「コンピュータル」、駐車場のパーキングは「パルキング」とネパール語で言うんだもん。
日本語でいうところの、カタカナ表記の外来語は語尾の「〜er」がすべて「ル」としっかり言っちゃうってわけだ。
だから、普通に英語で会話していても、「〜er」のところは「ル」で通す。
rememberはリメンバル、Octoberはオクトーバル、numberはナンバル・・・
タイ人より文法はしっかりしているし、インドに近いせいか、アメリカ英語よりはイギリス英語よりの丁寧な言い回しをすることが多いのに、「R」がキツイんだやね。
ネパール人の友達に、「そこんとこ笑えるんだけど・・・」と言ったら、みんなニヤリと笑って、「ネパリだからしょうがない。でもオレ達は英語でビジネスしてるのさ。」と答えて、「ネパリイングリッシュに乾杯!」とビールの本数が増えていった。

お国訛りのストリートイングリッシュを話すアジア人は、恐ろしいことに、ストリートジャパニーズもストリートコリアもストリートフレンチもこなせちゃったりするんだよ。

人なつっこさとうさんくささが、また私をアジアの虜にするのである。

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