自由の民、モン族。
タイではメオ族と言われることも多いが、これは彼らにとっては大変不愉快なことだ。
タイ人がモン族を差別的に馬鹿にした呼び方なのだ。
タイで仕事をすると、モン族物を扱う店主がタイ人の場合、「これはメオね。」と説明してくれる。
モン族の人や他の少数民族の人、または勉強している店主の場合、「これはモンね。」と説明してくれる。
モン語で「モン」は「自由」を意味するそうだ。
自らを自由の民と名乗る民族なのだ。
モン族の分布はとても広い。
タイ・中国・ラオス・ベトナムの山岳地に多く住んでいる。
その伝統的な民族衣装に表れる手工芸によって、白モン族・青モン族・黒モン族と区別できる。
(花モン族というのもあるそうだが、白モン族の一派のようだ)
自由の民と称する民族なのだが、歴史的に見ると悲しい出来事が多い。
「モン族の悲劇」という本も出ているが、資料によれば、ベトナム戦争で亡くなったモン族は20数万人といわれ、ベトナム戦争で亡くなった米軍兵士の4倍弱だという。
ラオス北渓からホーチミンへと続く「ホーチミンルート」があったのだ。
最前線の特殊部隊として使われた歴史は、第1次インドシナ戦争から第3次インドシナ戦争まで続く。
アメリカ軍、フランス軍、北ベトナム軍、ベトミン軍などに利用された。
アメリカ軍は、サイゴン陥落した時、多くのモン族兵士を見捨てたそうだ。
見捨てられた兵士はメコン川を泳いで逃げたそうだ。
しかし、いかんせん、山岳民族であるモン族は泳げない。
たくさんのモン族兵士の遺体が、メコンの岸に上がったそうだ。
ラオスでは、今も反政府ゲリラとして闘っているモン族がいる。
爆弾をしかけたり、ツーリストバスを襲ったりする。
アメリカのミズーリー州にはモン族の村がある。
たくさんのモン族が住み、モン語を教えてるよって、飛行機で席が隣だった国連に勤める日系人のお姉さんが言ってた。
ラオスやベトナムのマーケットでは、モン族の少女たちが値段交渉の役目を果たしている。
彼女たちはスゴイ。
何がスゴイってビジネスに関わることなら何カ国語か喋れるのだ。
英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・中国語・日本語・韓国語・タイ語・ベトナム語・ラオス語・・・・・。
8〜15歳くらいの少女たちだ。
ゲリラも、やり手の値段交渉をするのもモン族。
未だに伝統的な暮らしをしているモン族もいる。
生まれたところによって、同じモン族でも生き方は違うのだ。
これが21世紀の現実なんだろう。
私はモン族の手工芸が大好きだ。
ろうけつ染めの渋さもいい。
シルバーの大胆なデザインもいい。
芸術作品とも言える刺繍の模様と色使いは本当にすばらしい。
自由な精神と一緒にずっと伝えていってほしい。
私の宝物の一つに、青モン族の人形がある。
女の子たちが針仕事の練習として作ったものだ。
これを作った女の子が一つ一つ説明してくれた。
「これ、お父さん、パパね。これ、お母さん、ママね。これ、お姉さん。これ、お兄さん。これはベイビー、赤ちゃんね。そしてコレは、パパの愛人ね!コレはママの愛人ね!」
一体この子に日本語を教えたのは誰?
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